
第3部:実務で痛いところ ― “無在庫×中国直送”が抱える現実と、その乗り越え方
ネットショップを始める人の多くが、「在庫を持たずに売れる」無在庫販売に惹かれます。
とくに中国直送を使えば、コストを抑えながらスピーディに商品を展開できる――そんな甘い言葉が並びます。しかし、実際の現場では思わぬ落とし穴が。この記事では、私自身の経験をもとに、無在庫販売のリスクと現実的な解決策を具体的にお伝えします。
■ 無在庫販売×中国直送 ― 安さの裏にある“高リスク構造”
あなたも感じていると思います。
「安く仕入れて、在庫を持たずに売る」無在庫スタイルは、一見すると最強の戦略に見える。
しかし、現場を歩いてみると、それは“利益が出ても続かない仕組み”であることに気づきます。
以下は、私が体験した「痛い現実」です。
■ 問題点①:検品ができない
中国からの直送は、自分の目で商品を確認できません。
ページの写真では美しく見えても、実際届くものは別物――。
「色味が違う」「サイズ感が雑」「縫製が甘い」など、違和感が積み重なる。
そして一度でも評価が下がると、そのショップの信頼は回復しづらくなります。
■ 問題点②:品質ブレが大きい
安価な工場ラインでは、同じデザインの商品でも仕上がりにムラが生じます。
たとえば、刺繍入りのワンピースが「ただのプリント」に変わっていたことも。
検品オプションをつけても、現場任せでは限界があり、最終的にお客様がその「ズレ」を受け取ることになります。
■ 問題点③:クレーム・返金の増加
フリマアプリやショップ運営では、レビューこそが命。
しかし、品質トラブルが続けば、低評価が積み上がり、検索順位も下がります。
返金・再発送に追われる時間ロスと、顧客対応のストレス。
利益が出ていても、実際は“時給マイナス”になるケースが少なくありません。
■ 問題点④:法規制の壁
見落としがちなのが法規制です。
とくに化粧品・電化製品・食品などは、国内販売に許可や表示義務があります。
知らずに扱うと、アカウント停止・販売差し止めといった事態も。
「売れているから」では済まされない領域なのです。
■ 私が選んだ“現実解” ― 資金ゼロ寄りでもできる安全ルート
無在庫販売を完全に否定するつもりはありません。
ただ、“攻める前に守る”。それが現実的なスタートラインだと思っています。
● 1)売れる物だけ試す(小ロット)
大量仕入れはせず、まずは少量テスト。
反応のある商品だけを残し、無理な拡大はしない。
これは資金を守るだけでなく、「失敗を小さく済ませる」ための戦略です。
● 2)サンプル発注は必須
どんなに信頼できる業者でも、現物を見なければ始まりません。
写真やレビューよりも、実際の手触り・質感で判断。
1個でもサンプルを取り寄せるだけで、後のトラブルを大きく減らせます。
● 3)検品代行 or 国内保管へ移行
少しずつ利益が出てきたら、国内倉庫での検品・発送に切り替える。
確かに手間はかかりますが、その分レビューが安定します。
結果的にリピート率が上がり、長く続けられる基盤になります。
● 4)商品説明を“正直すぎるほど正直に”
海外製品特有の差異やゆるさは、最初から説明しておくこと。
「海外製品のため、若干の縫製ズレがあります」など、先に伝えるだけで印象は大きく変わります。
顧客は“完璧”よりも、“誠実さ”を見ています。
● 5)差別化・限定感を出す
価格での戦いは長く続きません。
たとえば、ラッピングを変えるだけでも“自分の店らしさ”が生まれます。
「物を売る」から「世界観を届ける」へ。
ここが次のフェーズにつながる大事な一歩です。
まとめ:
無在庫販売は、確かに魅力的な仕組みです。
けれど、その裏には「信頼を失うリスク」も潜んでいます。
地に足をつけた運営を選ぶことで、長く、穏やかに続けられるショップ運営が見えてきます。
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